NPO法人アナイス

●練馬区北園町会における動物同行避難訓練

平成14年9月1日(日)、防災の日に各地で避難訓練が行われた中、東京都練馬区のある中学校で犬との同行避難訓練が行われました。
関越自動車道路、外環道路の入り口にほど近いところにあるその学校は練馬区立大泉北中学校。
この地域の避難所に指定されています。

朝8時30分になると犬が少しずつ集まり始めました。集まってきた犬は総勢35匹に昇りました。

校庭に入ってきた犬と飼い主は受付で住所、氏名、犬の呼び名をノートに記入した後、白いリボンを受け取ります。

飼い主は犬が逸走したときの目印となるよう、リボンに犬の名前と飼い主の名前を書き込みました。

皆が集まったところで、連れてきた犬をフェンスにつないで、飼い主に離れるよう指示がありました。飼い主と離れた犬がどのように反応するのかを確かめるためです。
予想に反して、皆とても落ち着いていました。その後、東京都城南島動物愛護相談センターの
職員によるしつけ方教室が行われました。

この訓練を企画したのは地元の「北園町会」です。
隣の板橋区では区と獣医師会が災害時の動物の避難は「同行避難」とすることが決まっていますが、練馬区では同行避難とはなっていないのです。
そこでこの町会では、昨年の宿泊訓練でこの中学校に皆で泊まったときに「飼っている動物はどうしようか。」ということについて話し合ったそうです。
それから1年の間に町会の中に「ペットコミュニティ」という組織を作り、動物の飼育数を調べ、
準備を進めました。担当の田中さんは「初めての試みだったので色々と不安でした。
何匹の犬が集まってくるか。
事故は起きないか。
飼い主と離れた犬が皆で吠えないか。
でも、無事に終わることができて何よりです。今後は町会に入っていない人達へこの活動を広めたり
受け入れ動物の種類を広げていきたいと思います。
飼っている動物は犬だけではありませんしね。」「隣の高速道路の下がぽっかり空いているので、災害のときにはその土地に動物の避難所を作るために提供してもらえるよう練馬区を通じて道路公団に申し入れをしているんですよ。」田中さんは目を輝かせていました。

それにしてもこの町会はなかなか先進的です。北園町会長の武田さんはこう話してくれました。
「災害が起きたとき、飼っている動物もいっしょに避難するのは当然のことです。しかし問題もあります。
避難所に来るのは動物好きとは限りません。犬を飼うのは個人の自由ですが、犬が一歩外に出た瞬間から犬は社会の一員になるのです。ですから犬の社会化が強く求められます。そうでないと(同行)避難はうまく行きません。」練馬区北園町会の動きが全国に波及していくといいですね。

一方、東京都との合同訓練会場となった練馬区の光が丘公園では、練馬区獣医師会が出展して動物の防災についての情報を話しました。当日行われた動物の防災についての住民の意識調査の結果については、後日ご報告したいと思います。(リポート M・S)

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