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この文章は、アナイスが会員向けに発行しているメルマガより抜粋したものです。

新潟中越地震

10月23日に発生した新潟中越地震。
この震災は新潟中越地区に大きな被害をもたらしました。
アナイスでは10月30、31日、11月2、3、4日と十日町市、小千谷市、長岡市に赴き、短い期間でしたが災害支援活動と現地調査を行ってまいりました。

新潟中越地震の特徴は山間部という立地条件にあると思います。
点在する町や村。分断された道路と通信手段。
情報は途切れ、救助も届かない数日間。
電気もなく真っ暗な闇夜に続く強度の余震。
被災地に孤立した住民の方々の不安は、想像に絶します。
反対に豪雪に耐えうる造りの家屋が、地震に耐えたというラッキーなケースもありました。
またこの地域ならではの近隣との密着した生活が、行方不明者もない理由でありその後の避難生活での家族同様に助け合えるなど、この災害を乗り越える大きな力になっているように感じました。

しかし現在まで続いている余震。
強度な余震が続く限り、住民の方々は次へのステップが踏み出せません。
自宅は無事でも、余震による倒壊が不安で家を片付けに戻れない。
日常を取り戻すには、ただただ地震の終息を待つしかないのです。

今回被災地に伺って実感したのは、災害の発生地域により被害の形が異なること。
また被災者の求める支援の内容も時系列で刻々と変わって行くことです。
それらを考えるとタイムリーに必要とされる支援を行うには、いくつかの支援メニューが必要となります。
まさに「備えあれば‥」
東京のような都会の机上でシミュレーションしただけの支援は、単に善意の押しつけになってしまうのではないかと自己反省しました。

とにかくいち早く情報を収集し、「発災直後」「2〜3日後」「1週間後」「中期支援」「長期支援」と、シチュエーションごとに提供できる支援を提示し、被災した方々はそれぞれに選ぶことができる。
それは動物を飼育しているしていないに限らず、災害救援すべてに通じることだと思います。

小千谷の場合には店舗や家屋が無事だった為に、飼育している動物に餌に関しても自宅に取りに戻ったり、お金さえ出せば店で購入することが可能でした。
必要とされていたのは動物に対する医療と、昼間何かの用事をしている間に動物を預かってもらえる一時預かり。
そして飼育している動物と一緒に避難生活が送れる避難所です。

混乱を極めた現地では、自らも被災されている市町村の職員の方々が、寝食を惜しんで被災住民の安全と健康に奔走されており、そのご苦労には頭が下がる思いでした。
動物を同行している被災者が避難所への入室を拒否されたという話をしばしば耳にしましたが、現場の担当者を責める気にはなれませんでした。
大勢の福祉を考えた場合、やむを得ないケースもあるからです。
ただその時に拒否するだけではなく「動物を同行している人はこちらに避難してください」とか「飼育動物をこの場所にこうしてください」という指示がなぜできなかったのか。
災害時に動物を同行する被災者がいる。
このような状況を一度も考えたことが無かったからだと言えるでしょう。
それに対処する方法や手段が一度も話し合われたことがなく、あったとしても現場には伝えられていなかったからです。

また被災された方々に「何か支援を!」と思う気持ちは大切ですが、間髪おかずに駆けつけた場合、二次災害で被災する危険も大きく、駆けつけたボランティアの水や食料や寝場所の確保まで手が回らない現地にとっては、かえって負担になる場合もあります。
その時に必要とされる支援ができるとしても、現地の情報を収集し、自分で食料や水を用意し、危険に対しては自己責任が負えるだけの覚悟とともに動かなければいけません。

被災者が必要としている支援を行うことができる。
大切なことです。
池田流に言えば「喉が渇いて苦しんでいる人に対し、きな粉餅を『どうぞ』と差し出す」。
そんな支援にならないように、今回の経験をきちんと次回に活かさなくてはなりません。
また支援というのは、あくまでも自立への手助けとなるものでなければいけないと思います。
物やお金だけでなく、考え方や知識の提供も大切な災害支援です。
今、災害時の動物救援に何が必要か。
今回の地震から得た経験を、飼い主、行政、民間団体、個人ボランティアに対して問題提起し、解決の方法を考えていくことがアナイスの使命です。
(レポート 池田 潤子)



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